聖地巡礼 アビィ・ロード

アニメなどで描かれた舞台が聖地巡礼として随分前から人気である。最近はインバウンドにとっても訪問先となっている。滋賀では、かるた(百人一首)が題材のアニメ「ちはやふる」の舞台「近江神宮」が有名である。大津の膳所、浜大津が舞台となった成瀬あかりのシリーズでも地元膳所のフレンドマート、ときめき坂、浜大津港のミシガンなどもこれから巡礼地になりそうである。

 

今から55年前の1969年に発表された「Abbey Road(アビィ・ロード)」というビートルズのアルバムがある。12枚目のアルバムで、事実上ビートルズ最後のアルバムとなった。作成されたスタジオはその後、道路の名称にちなんでアビィ・ロード・スタジオと改称された。スタジオ前のアビィ・ロードの横断歩道を歩くビートルズの4人の写真がアルバム・ジャケットになっている。コナン・ドイルの小説シャーロック・ホームズで有名なベーカー街も近くにあるこのロンドン市街のアビィ・ロードの横断歩道が、55年経った今でも英国人及び世界のひとにとっての聖地である。

 

この聖地の24時間動画が世界に配信されている。日本とロンドンは8時間の時差があるが、日本でも見ることができる。そこで見られるのは聖地巡礼の人びと。その人々を写真に撮るひともいる。通行する車も承知したもの、横断歩道を渡る巡礼者を見守っている。時には大きなクラクションも。それを眺めているだけで楽しい。二階建ての赤いロンドンバス、黄色い救急車、宅配業者の姿、自転車に乗るひと、ジョギングをする人、時には近くの公園を棲み家としていると思われるリスも横断する。深夜、早朝、昼間、夕刻、夜、それぞれの風景がある。日本に居ながらにして見られるこの光景。何と贅沢なんだろうと思う。特に、夜、ウィスキーをやりながら眺めるのは1日の疲れを癒す至福の時間でもある。