大摩のガロ イシミツ

 

 漫画家の白土三平氏が亡くなった。享年89歳。晩年は千葉県房総で過ごした。白土氏の作品といえば、「カムイ伝」「カムイ外伝」「忍者武芸帳 影丸伝」が代表作だ。筆者は子どもの頃、「サスケ」をリアルタイムで読んでいた。月刊少年雑誌「少年」に連載されていた。雑誌本体にカラーで10数ページ程度、続きは付録本で、というスタイルだった。その後、先の「カムイ伝」などを読んだと思うが、多分通しで全巻読んではいない。今手元にある白土作品である「大魔のガロ」「栬𨊂𠎁潢(イシミツ)」「スガル」「紛忍]「剣風記」を改めて読み直した。やはり面白い。当時は一般的ではなかった「食物連鎖」をモチーフにした「赤目」という作品を1961年に発表している。1970年代に若者に絶対的に支持された理由もわかる。「栬𨊂𠎁潢」の中で、ある登場人物が次のように語る言葉は印象的だ。

 「新しい良いものが作られたり発見されたりしても、世の中のしくみがくるっていると、それがかえって逆の作用をすることがあるのじゃ」