相米慎二監督

スキャンダルにもめげない(ように見える)斉藤由貴は、キャラクター的にもいい女優である。と言っても、NHK朝ドラの「おひさま」くらいしか見たことが無い。最近彼女が、あるスポーツ新聞に初主演映画のときのエピソードについて語っていた。映画タイトルは「雪の断章 -情熱-」(1985年)、相米慎二監督作品である。相米監督は2001年、53歳で早世したが、「翔んだカップル」(1980年)「セーラー服と機関銃」(1981年)「魚影の群れ」(1983年)など生涯13作品を監督し、沢田研二主演の「太陽を盗んだ男」(1979年)では長谷川和彦監督の元で助監督も務めている。「太陽を盗んだ男」以外は観ていないが、20年以上前から気になっている監督である。

 

 故松下竜一は筆者の好きなノンフィクション作家である。大分県中津で生を受け、2004年に67歳で亡くなった。彼の自費出版本かつ処女作である「豆腐屋の四季」は1969年にテレビドラマ化された。若き緒形拳が竜一役、妻洋子役を川口晶が演じ、脇を林隆三、淡島千景、藤原釜足などが固めた。進学を諦め家業の豆腐屋を継いだ若き竜一が、平凡ながらも過酷な日常と洋子への愛を描いた作品である。

 

実はこの「豆腐屋の四季」を後年映画化しようと企ていたのが相米慎二監督である。松下氏が、相米監督の死の数年前に関係者が取材に来たということを述べている。しかし、映画化はないだろうとも語っている。監督が早世したからではない。このようなテーマの映画が受け入れられるような社会ではないと、松下氏は考えていたからである。21世紀を目前にした時代である。だから、相米監督については少しばかり関心を持っていた。斉藤由貴との接点も見つかったので相米監督の映画も観てみたいと思う。

 

ところで、「おひさま」に樋口可南子の蕎麦屋の夫役で出演していた串田和美はこのブログでも触れている「上海バンスキング」の演出者兼出演者である。